金融・労働研究ネットワークは昨年(2019年)12月15日に「現代資本主義をどう捉えるか」をテーマに研究会を開催し、当ネットワークの高田太久吉(中央大学名誉教授)から報告を受けました。高田代表は、月刊『経済』(新日本出版社 2019 年 11 月号)掲載の「[研究]『現代資本主義をどう捉えるか経済の金融化論の視点から…』」や、いくつかの講演で論じてきた視点を対寧に解説。アメリカの大統領選挙で特に若者に広がる「社会主義」あるいは「民主社会主義」志向の拡大をもたらしている今日の資本主義経済の行き詰まりをどのような視点に立脚して分析すべきかを提起。現代資本主義を理論的・歴史的・世界的に(トータルに)捉える必要性を確認し、現代資本主義を特徴づけるものを「経済の金融化」であると規定しました。「経済の金融化」は高田代表が従来から明らかにしていることですが、高田代表はさらに「『経済の金融化』とは、企業、家計、財政をふくめ、資本主義経済全体の運行が証券(架空資本)市場の動向に依存 し、 規定される (シンクロする) 度合いが強まる傾向を意味している」と説明。さらに、「『経済の金融化』=『架空資本市場依存型資本主義に向かう傾向』は、資本主義が本来の健全な成長経路・蓄積様式から新自由主義の影響で 一時的に 乖離し、腐朽性を強めた結果 と考えるべき ではない」と説明。「貨幣形態での価値増殖 G- G’ を目指す資本の運動 は本来 「非」実体的 「非」有用的 であり」・・・「経済の金融化」は、資本の 本性(概念) から発現する 本来的傾向 であり、資本主義の歴史的 発展の 必然的 帰結 (純粋な資本主義、資本主義の完成形) である」論じられました。
報告レジュメを開く報告レジュメ「現代資本主義をどう捉えるか」高田太久吉(2020年10月11日up)