書評「資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界」合田寛(2019年9月11日up)

協同金融研究会の齊藤正代表は「地域社会の発展に貢献する協同組織金融」http://www.leaf-line.jp/~iflj/wp-content/plugins/download-monitor/download.php?id=332で宇沢弘文氏の「社会的共通資本」を今日の経済問題、地域経済を考える際の基本的な視点として紹介されています。その宇沢弘文氏の経済学を理解する絶好の評伝が今年3月に講談社から刊行されています。政治経済研究所の合田寛氏が書評を寄せてくださいました。宇沢弘文氏は銀行労働研究会でも講演していただいたことがあります。世界的に日本を代表する経済学者の1人でありながら大変気さくな方でした。懇談の中でフリードマンの人間性を含めて批判されていました。夫人の浩子氏が、銀行労働研究会のひろば編集長(後に事務局長)をしていた志賀寛子さんと自由学園で友人だったこともあり、志賀さんが夫人の話題を出すと照れていました。この合田寛氏による書評はケインズ経済学、新古典派経済学、ソースティン・ヴェブレンの「制度学派」の学説を簡潔に紹介して、宇沢弘文氏への理解を深めてくれます。同時に、630ページを超える本書は経済理論だけではなく、それぞれの経済学者を取り囲む社会情勢、例えば都留重人氏がマッカーシズムや反共謀略にどのように巻き込まれたかなど社会情勢のかかわりなど詳細に理解できます。著者佐々木実氏の精力的な取材と宇沢弘文氏への理解の深さも伝わってきます。また、経済学理論を数式を使わずに平易に解説する著者の努力にも敬服させられます。(金融・労働研究ネットワーク 田中均)

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